涙を流す。

時には泣きたい時がある。
泣くまい、と思っても涙がこみ上げる時がある。
泣けてしょうがない時がある。

そんな時は、泣くがいい。


毎朝、家を出るが、足は学校に向かない。
裏道から裏道へとさまよい歩く。
長い長い一日という時間を、侘しさ、寂しさ、情けなさと一緒に過ごす。


「学校に行かないで、どこにいたんだ?」
そう尋ねられ、子どもはポツリと答えた。
「町外れの土管の中にいた」。


あなたなら、この子に、なんと言うでしょうか?


「そうか。つらかったなあ」。
この言葉に、子どもは驚いたように目を見ると、手をつかみ、大声で泣き出した。
そして、とめどもなく泣きじゃくった後で、
「おれ、ここ(養護施設)でがんばってみる」と言ったそうです。
学校に行けなかったことは、この子の思い出になるかも知れません。


人には、誰にでも泣きたくなるような思い出や、体験があるのではないでしょうか。
常に深い悲しみを胸に秘め、その悲しみを大切にして歩み続ける時、人は、ついには
物事の真の意味を知ったり、心の迷いが解けたりするのでしょう。


涙を流すことは、人生を深める道でもある。