samurai研究その2

この故に武士は常に如何に生くべきかといわんより、

如何に死すべきかの工夫に生きた。

五十年の徒なる生活を犠牲にしても、尊い感激のある一瞬を欲した。

この身命を喜んで擲ちたい事業、この人の為に死なんと思う知己の君、

渾身の熱血を高鳴りせしむべき好敵手、これらを武士は欲した。

この躍々たる理想精神は凝って所謂武士気質なるものとなり、

頑固とまで考えられる信念、極端とまで驚かれる修練となった。